カモフラージュ
張り詰めていた糸が、音を立てて切れた。
「あのぉ・・・怖いです・・・グスン」
「ごめんね。
泣かせるつもりはなかったんだけど・・・」
「大丈夫です・・・
全部見透かされてるようで・・・
社長さんには嘘がつけない」
「嘘じゃなくて、隠してるんだよね?
弱い自分を・・・」
そこまで分かってるの?
グスン。。。グスン。。。
千尋の泣き声だけが、車内に響いている。
和馬は心配そうに、何度も千尋の顔を見て
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・頭を撫でた。
その手を上から握ると
和馬はビクッ!と驚いた。
「この手が、兄に似てるから・・・
だから・・・安心出来るんです」
「お兄さん?」
千尋は、兄の話を少しだけして手を離した。
すると、今度は和馬が千尋の手を握った。
「あっ・・・」
「大丈夫!何もしないよ」
泣き止むまで、ずっと握っていてくれた。