聖夜に口づけのプレゼント

 鏡に映る自分の姿は、上品な感じに仕上がっていて正直嫌いじゃない。だが実際の所、自分の意志と関係なくハイスピードで展開していく物事に頭がついていかない。

その苛立ちから、試着室のカーテンを開けるとその前で待っていたらしい秀弥を一睨みした。


「ちょっと、どういうこと?」

「似合ってるじゃん」

「いや、そう言う問題じゃなくて」


全く言いたい事が伝わらない。

その事にため息を吐いている間に、秀弥が口にした言葉に今度は目を丸くする。


「これください」

「ええっ!!これ凄い高いんだけどっ!」

「大丈夫」


さらっとそう言ってのけお会計へと向かう秀弥。大丈夫というのは、自分が払うからって事…なのだろう。けど、何で秀弥が買うみたいになっているのかとわけが分からない事だけで、私の頭はもうパンク寸前だ。

そんな私を見てニヤッと秀弥が悪戯に笑う。


「俺サンタからのクリスマスプレゼント」


なるほど。クリスマスプレゼント。

確かに友達でもプレゼント交換とかはよくあること。……にしては、異常に値段が高いんだけどっ!


「ちょっ、ちょっと!」

慌ててそう口にした時には、既にお会計は終わっていて「行くぞ」と私を手招きしていた。


ほんと、……今日の秀弥はわけが分からない。

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