聖夜に口づけのプレゼント

「え?」

「私はサンタからプレゼントをもらったけど、秀弥はまだもらってないでしょ。だから」


とって付けたような理由。でも理由なんてほんとは何でもいい。

今日はクリスマスイブだから。

秀弥が勇気を出して誘ってくれた場所だから。

私も、……ちゃんと伝えよう。


秀弥のニットタイを空いている手でグイッと引っ張ると、私へ近付く秀弥の顔。

その秀弥の唇に、目を閉じるとそっと自分の唇を押し当てた。

時間にしてほんの数秒。

でもそれだけでも温もりを感じるには十分過ぎる時間で。ゆっくりと唇を離し目を開くと、自分のとった行動への恥ずかしさから呟く様に声を出す。


「秀弥と結婚したくなったから。……帰らないのが私サンタからのプレゼント」


そう言う私の目の前にある秀弥の顔は私以上に真っ赤に染まっていて、その姿にすら心臓が跳ね上がる。


「そんな事言われたら、今すぐ食べちゃいたくなるんだけど」


甘い誘惑に『どうぞ』と言ってしまいたくなる。でも、視界の片隅に入ってくるキラキラと輝く宝石の様な夜景。折角だから、この夜景をもう少し堪能したい。


今日という記念に。

秀弥と二人で。


「もう食べたでしょ。美味しいディナー」

「それ、分かってて言ってるだろ?」

「さあ?」


バクバクと煩い心臓の音を誤魔化しながら悪戯にニヤッと笑うと、首を傾げた。







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