朱鷺鉦学園の事情。
「ほら梨琴。挨拶なさい。」





「御挨拶ありがとうございます、北槇碧さん。
私は綿貫梨琴と申します。以後御見知りおきを。」





私だってちゃんと挨拶したのではないか────



ならば、褒めてもらえるのではないか────







そう思ってお父様とお母様の方を少し覗いても








……彼らは褒めてくれなかった。













愛を受けて育たなかったわけじゃない。






別に捨てられたわけでもない。






























────でも、







私を見て欲しかった。褒めて欲しかった。

「よく出来ました、頑張ったね」って。







そんな事を思っていたら、私の目から







水が流れ出てきた。





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