今宵、ホテルの片隅で。
「データが破損してる?」
無事にホテルの予約もとれ、休息もとれた休み明けの月曜の朝、出社して一発目に聞いた後輩からの伝言に目がさめる。
「そのように先方から電話がありました」
新規顧客である雑貨店のウェブページ内のイラストを担当しているが、金曜日きちっとデータを送ったはずなのに。
「オレやり直しますから」
と夏野くんは率先して仕事を進めてくれた。
先方に謝りの電話をかけて、営業担当からお叱りを受けようやく解放された。
お昼を抜いて共に頑張ってくれた夏野くんの席へ向かう。
「助かった。ありがとう」
「いいんですよ。これくらい」
と、夏野くんはにっこり笑ってこたえてくれた。
編集部による用事があったとき、亜紀さんに予約できたと伝えると、ごめん、と両手を合わせて謝られる。
「無理なんですか」
「それがあたしも白井ちゃんも出張になっちゃって」
「……そうですか。他を当たります」
といったところで、あてになるひとなんかいない。
キャンセル料金が発生するぐらいなら一人で泊まっちゃおう。
自分の席に戻り、夏野くんの顔をみて、ひらめいた。
仕事の帰り、まだ残る夏野くんに声をかけた。
「お礼なんだけど」
夏野くんは目を輝かせている。
「今月末、時間つくってくれないかな? そうね、ディナーご馳走する。彼女さんには申し訳ないけど。臨時バイトとして考えてくれたらいいから」
「バイト、ですか。その日あいてますよ。それより水鳥さん、彼氏……」
と、夏野くんは顔を曇らせていたけれど、
「いいっすよ。水鳥さんのお礼ですから。遠慮しないでくださいね」
と、案外軽い感じで了承してくれた。
無事にホテルの予約もとれ、休息もとれた休み明けの月曜の朝、出社して一発目に聞いた後輩からの伝言に目がさめる。
「そのように先方から電話がありました」
新規顧客である雑貨店のウェブページ内のイラストを担当しているが、金曜日きちっとデータを送ったはずなのに。
「オレやり直しますから」
と夏野くんは率先して仕事を進めてくれた。
先方に謝りの電話をかけて、営業担当からお叱りを受けようやく解放された。
お昼を抜いて共に頑張ってくれた夏野くんの席へ向かう。
「助かった。ありがとう」
「いいんですよ。これくらい」
と、夏野くんはにっこり笑ってこたえてくれた。
編集部による用事があったとき、亜紀さんに予約できたと伝えると、ごめん、と両手を合わせて謝られる。
「無理なんですか」
「それがあたしも白井ちゃんも出張になっちゃって」
「……そうですか。他を当たります」
といったところで、あてになるひとなんかいない。
キャンセル料金が発生するぐらいなら一人で泊まっちゃおう。
自分の席に戻り、夏野くんの顔をみて、ひらめいた。
仕事の帰り、まだ残る夏野くんに声をかけた。
「お礼なんだけど」
夏野くんは目を輝かせている。
「今月末、時間つくってくれないかな? そうね、ディナーご馳走する。彼女さんには申し訳ないけど。臨時バイトとして考えてくれたらいいから」
「バイト、ですか。その日あいてますよ。それより水鳥さん、彼氏……」
と、夏野くんは顔を曇らせていたけれど、
「いいっすよ。水鳥さんのお礼ですから。遠慮しないでくださいね」
と、案外軽い感じで了承してくれた。