今宵、ホテルの片隅で。
口の中でチョコが満たされたとき、なんだかもういいかなって思えるようになった。
「オレだったら水鳥さんの過去から救いだせますけど。未来だって」
「ったく、冗談は彼女にいってあげてよ」
「彼女ですか? いませんよ。ずっと」
「は? だって職場で彼女って」
「あの場ではああでもいっておかないと、水鳥さん嫌がるかなーって」
「……ちょ、ちょっと」
「さあ、今夜はとことん楽しみましょっか」
と、夏野くんの大きな手がわたしの手をつかんで立ち上がった。
「ディナーの時間、まだありますよね。少し外出ましょうか」
少し冷たくなった風を浴びていても、夏野くんは手を離さなかった。
ホテル周辺の観光スポットはすでにクリスマスの装飾が施されている。
「優しいですよね、水鳥さんは」
「いつものこと。誰にだってそうだけど」
「ちゃんと先回りして行動するなんてすごいですよ」
わたしだってこういう性格になるなんて思ってもみなかった。
自分でエスコートするほうが楽だとわかってしまったから。
「じゃあ、今度はオレの番ですね」
どこのイルミネーションよりも夏野くんの姿が一番輝いてみえた。
「優しい仕草、オレだけにしてもらえませんか?」
ドキっとして何もいいだせなくなってしまった。
「みてられなくて。誰にでもそういう顔しないでください」
「夏野くん……」
ここまで先輩思いのいい後輩に育ってくれてよかった、とごまかすように気持ちを切り替えた。
「オレだったら水鳥さんの過去から救いだせますけど。未来だって」
「ったく、冗談は彼女にいってあげてよ」
「彼女ですか? いませんよ。ずっと」
「は? だって職場で彼女って」
「あの場ではああでもいっておかないと、水鳥さん嫌がるかなーって」
「……ちょ、ちょっと」
「さあ、今夜はとことん楽しみましょっか」
と、夏野くんの大きな手がわたしの手をつかんで立ち上がった。
「ディナーの時間、まだありますよね。少し外出ましょうか」
少し冷たくなった風を浴びていても、夏野くんは手を離さなかった。
ホテル周辺の観光スポットはすでにクリスマスの装飾が施されている。
「優しいですよね、水鳥さんは」
「いつものこと。誰にだってそうだけど」
「ちゃんと先回りして行動するなんてすごいですよ」
わたしだってこういう性格になるなんて思ってもみなかった。
自分でエスコートするほうが楽だとわかってしまったから。
「じゃあ、今度はオレの番ですね」
どこのイルミネーションよりも夏野くんの姿が一番輝いてみえた。
「優しい仕草、オレだけにしてもらえませんか?」
ドキっとして何もいいだせなくなってしまった。
「みてられなくて。誰にでもそういう顔しないでください」
「夏野くん……」
ここまで先輩思いのいい後輩に育ってくれてよかった、とごまかすように気持ちを切り替えた。