今宵、ホテルの片隅で。
ルームサービスの朝食を食べながら、晴樹くんは思い出し笑いをしていた。
「晴樹って呼び捨てされるの、ドキっとしちゃった」
「あのときは」
「そう言われるなんて夢みたいだなって」
まだ昨夜の余韻を楽しんでいるかのようだった。
「これで忘れられましたか?」
「始まったわけだし。晴樹くんと」
「出発地点ですね。オレと冬子さんの恋人記念日でもあるんだ」
出発か。元カレも今日を境に結婚式をすませ、やがて父親になるんだ。
「そうだ。いいこと思いついた。記念日には必ずここに泊まる約束」
といって、晴樹くんはわたしの小指に自分の小指をからませた。
「いつかは、このホテルで式をあげる予定も入れておいてくださいよ」
「気が早いって」
「予約しておかないと。誰かにとられてしまうから」
憂鬱だった誕生日が嘘のように晴樹くんのおかげで素敵な日に変わった。
チェックアウトをして晴樹くんとともにホテルを出る。これから披露宴へ向かう人の列が見えた。
ロビー前には大きな花瓶に素敵な花が生けられている。
「今を咲き誇って、オレを魅了させてくださいよ。オレの大切な人、冬子さん」
プレゼントの包み紙を開けるような、あのワクワクする楽しみをくれた。
「晴樹って呼び捨てされるの、ドキっとしちゃった」
「あのときは」
「そう言われるなんて夢みたいだなって」
まだ昨夜の余韻を楽しんでいるかのようだった。
「これで忘れられましたか?」
「始まったわけだし。晴樹くんと」
「出発地点ですね。オレと冬子さんの恋人記念日でもあるんだ」
出発か。元カレも今日を境に結婚式をすませ、やがて父親になるんだ。
「そうだ。いいこと思いついた。記念日には必ずここに泊まる約束」
といって、晴樹くんはわたしの小指に自分の小指をからませた。
「いつかは、このホテルで式をあげる予定も入れておいてくださいよ」
「気が早いって」
「予約しておかないと。誰かにとられてしまうから」
憂鬱だった誕生日が嘘のように晴樹くんのおかげで素敵な日に変わった。
チェックアウトをして晴樹くんとともにホテルを出る。これから披露宴へ向かう人の列が見えた。
ロビー前には大きな花瓶に素敵な花が生けられている。
「今を咲き誇って、オレを魅了させてくださいよ。オレの大切な人、冬子さん」
プレゼントの包み紙を開けるような、あのワクワクする楽しみをくれた。