L'eau, je suis important...
パタパタと走っていく山本の後ろ姿を見ながら、壁に寄りかかって、ズルズルと下に落ちていった。
「はぁー…初恋にして失恋か…
思ったよりきっついなぁ…」
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応援席に戻るとすぐに座っている玲を見つけた。
「おいー!悠太どこに行ってたんだよ!」
靴紐を結びつつも、少しふざけ気味に絡んでくる玲。
今はそんな気分じゃねー…
「ちょっとな」
「なんか落ち込んのか?」
「あぁ…ちょっとな」
「んっとまー、今から僕の3000だから、応援して!
ま!悠太の応援がなくても余裕で1位とれちゃうけどね~」
明るく振る舞って、俺が何も考えなくていいようにしてくれて。
やっぱいいやつだな、玲は。
テントから出ていくときに、俺の肩にポンと手をおいて、
「あとから話聞くから」
そう耳元で囁いていった。
本当にありがとな。玲。
なかなか本人には言えないけど。