L'eau, je suis important...
「あ、あぁ。いいぜ」
ハチマキをデコより上の方にあてた。
「わりぃけど、ここ持って前向いてもらえるか?」
「うん!」
ハチマキを押さえる手が、軽く触れた。
っ、
「あ、ごめ…」
「お、おぅ」
ドクンドクンドクン
いつもより心臓が耳の近くにあるくらい心音が大きく感じられた。
我慢だ我慢。
ハチマキを引っ張り後ろで結んだ。
見ても髪がサラサラなのはわかるが、実際触ってみると、想像を超えるくらい艶がありサラサラしていた。
「できたぞ」
「ありがとね!」
山本が振り返り、笑顔を浮かべた。
「じゃあ次は私の番!」
俺と同じように山本がハチマキを結んでくれた。
「ありがとな。」
「ううん!私こそありがとう!!
これでいつもより速く走れそう!」
満面の笑みで言った。
「おぅ!よかった!」
「髙野くん本当にありがとう!」