L'eau, je suis important...
ケータイを確認しながら進む阿部をずっと追いかけた。
どれくらい経ったかわからないが、結構長い時間走ったと思う。
風景が変わってきて、森が見えるようになった。
すると、阿部が急に止まった。
「おい!急に止まんなよ!危ねぇだろ?」
「わりぃ。
けどさ、GPSここで止まってんだよな…。」
「は?見せてみろよ」
ケータイを覗き込むと確かにそこで点滅していた。
「あ!阿部!これ」
ケータイを見たときに視界に入ったものをひろいあげ阿部に見せた。
「これは…碧海のケータイ…?」
「梶原のか?」
「あぁ。」
「じゃあ、追っている途中で落とした可能性が高いな。
この辺を少し探してみようぜ。」
俺の予想が正しければ、舞羽たちは近くにいるはず…。
「そうだな。」
そこから周辺を彷徨った。
ガサガサガサッ
何かと葉っぱが当たる音がした。
「誰か来るぞ。」
それに気づいたのは俺だけじゃないようで、阿部が声を発した。