L'eau, je suis important...
それから波打ち際を歩きながら話をすることにした。
「舞羽、遅くなってすまない。
何があったのか教えてくれるか?」
男に何かをされたことで怖がっていると考えた俺は、いつもより優しく声をかけた。
コクコクと頷いた舞羽が話し始めた。
「着替えが終わってすぐ、ナンパされてる悠太くんたちを見ちゃって、私たちがそれに嫉妬して立ちすくんでたの。そしたら、誰かに手で口をふさがれて、引っ張られたの。抵抗したんだけど、男の人だったみたいで、全く敵わなくて。結構経った時に梶原くんが来て、すぐに阿部くんも来て、助けてくれた。」
俯きながら少しずつ話してくれた。
「気づかなくてすまなかったな。」
「んーん。いいの。悠太くんのせいじゃないから。」
優しく首を振った舞羽の頭を柔らかくなでた。
「他にされたことあるか?」
「手を握られた…くらいかな?」
思い出すように言った舞羽だったが、言葉をにごしたように感じた。
「他には?何もされなかったか?」
「悠太くん言っても自分のこと責めない?」
「あぁ。責めねぇから教えてくれ。」
俺がそう言ったところで、意を決した舞羽が口を開いた。
「キス…された…。唇に…」
あぁ。何で俺はもっと早く見つけてあげれなかったんだろうか。
最低だな俺。
「本当にすまなかった。」
「大丈夫だよ。お願いだから自分を責めないでね。」
そう言ってさっき俺がやったように頭をなでてくれた。