L'eau, je suis important...
ー同刻、港。
「玲くーん!お待たせ〜」
待ち合わせ場所にはやめにつき、彼女を待った。
「全然待ってないから大丈夫だよ!」
ニコっと笑うと彼女も笑顔になった。
彼女、島崎葉七(Shimazaki Hana)ちゃんは隣駅の高校に通う2年生。
明るくて活発な女の子。
「じゃあ行こっか!」
さり気なく手を握った。
「ちょっ!ちょっと!手!」
「葉七ちゃん迷子になっちゃうから!」
「迷子!?迷子なんてならないから!」
そう言いながらも、葉七ちゃんは握っている手を離すことはなかった。
「どこか行きたい場所ある?」
と言いながら葉七ちゃんの方を見ると目をキラキラさせていた。
「葉七ちゃん?どうしたの?」
「…ん!?なんでもないよ?」
葉七ちゃんはそう言って隠したけど、葉七ちゃんの目線の先を辿ってみると、小さい子がヨーヨーを持っていた。
「そっか!
葉七ちゃんさぁ、どこか行きたいところある?」
「うーん、クレープ!食べたい!」
目の前にクレープの屋台があって、それを見て、食べたくなったことが一目瞭然で思わず笑ってしまった。
「クレープね…ククッ…いい…よ」
「ちょっ!ちょっと!なんで笑いながら言うのさ!いいじゃん!クレープ!」
葉七ちゃんは抗議したけど、それさえも笑いの材料となって。
「あはははっ!」
声に出るくらい大きな声で笑ってしまった。