L'eau, je suis important...



ー同刻、港。


「玲くーん!お待たせ〜」


待ち合わせ場所にはやめにつき、彼女を待った。


「全然待ってないから大丈夫だよ!」


ニコっと笑うと彼女も笑顔になった。


彼女、島崎葉七(Shimazaki Hana)ちゃんは隣駅の高校に通う2年生。

明るくて活発な女の子。


「じゃあ行こっか!」


さり気なく手を握った。


「ちょっ!ちょっと!手!」

「葉七ちゃん迷子になっちゃうから!」

「迷子!?迷子なんてならないから!」


そう言いながらも、葉七ちゃんは握っている手を離すことはなかった。


「どこか行きたい場所ある?」


と言いながら葉七ちゃんの方を見ると目をキラキラさせていた。


「葉七ちゃん?どうしたの?」

「…ん!?なんでもないよ?」


葉七ちゃんはそう言って隠したけど、葉七ちゃんの目線の先を辿ってみると、小さい子がヨーヨーを持っていた。


「そっか!
葉七ちゃんさぁ、どこか行きたいところある?」


「うーん、クレープ!食べたい!」


目の前にクレープの屋台があって、それを見て、食べたくなったことが一目瞭然で思わず笑ってしまった。


「クレープね…ククッ…いい…よ」


「ちょっ!ちょっと!なんで笑いながら言うのさ!いいじゃん!クレープ!」


葉七ちゃんは抗議したけど、それさえも笑いの材料となって。


「あはははっ!」


声に出るくらい大きな声で笑ってしまった。


< 233 / 359 >

この作品をシェア

pagetop