L'eau, je suis important...


飲み物を口に含み、全員が落ち着いたところで、康介が口を開いた。


「んで?なんで喧嘩なんかしてたんだよ」


「……こいつが…。」

「……」


望は少し口を開いて黙った。

玲の至っては無言。


はぁ…。
俺が説明すっか〜


「望が玲に名前を呼ばれたことが気に食わなくて、名字で呼べって言ったんだよ。
そしたら、玲が望の名字わかんねぇから呼べねぇって言って。そんで蝶月の名前、誰もわかんねぇって言ったことに対して望がキレて、この有様。」


両手を首の高さまで上げて首を振った。


「なるほどな〜
まぁ、これは…。玲くんが悪いな。」


まぁ、それには激しく同意だな。

仲間になるんだから、名前を覚えてないなんて論外。


「宏樹に賛同だな。
仲間の名前を覚えないなんてありえねえ。蝶月では、な。」


そうだな。
蝶月のメンバーは“仲間”と言うより“家族”。


家族の名前を覚えてないやつなんていないだろう。


「玲。まぁ、今回は玲が悪い。
もともと玲を仲間に入れて戦うってなっていたが、名前すら覚えていないのなら、お前を入れることはできない。」

玲の目をじっと見た。

「えっ…」

「でも、このまま入れないってするのは流石に可哀想だ。だからお前にチャンスをやる。
明日までに今回参加するメンバーの名前を覚えてこい。もちろん、顔と名前が一致するようにな。」


今回は参加してくれる人が多く、珍しく30人近くいる。


1日とはなかなか厳しいだろうが、本気で参加したいのであれば、これくらい余裕だろう。


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