L'eau, je suis important...
驚いていたときにどこからかヤクさんが現れた。
「お前の居場所は完全になくなった。だから俺が居場所を作ってやる。俺んとこに来いよ。」
「……。はいっ!」
最初は驚いた。
でも僕のために行動してくれたヤクさんの厚意がとてつもなく嬉しかった。
その後、そのまま炎龍の倉庫へ向かった。
その時に最初に紹介されたのが玲さんだった。
「玲。コイツ拾ってきたから仲良くしてやれ。」
「そうなんですか!?
お前名前は何ていうんだ?」
初めて会ったのに、玲さんは優しく声をかけてくれた。
「……梶原碧海。」
「梶原か!よろしくな!」
この日話したのは玲さんだけだった。
特に居場所も出来ずその日は過ぎていった。
数日経っても、話すのは玲さんくらいだった。
居心地も悪いし、ここに来たことを少し後悔したときだった。
ヤクさんが炎龍を引退するといったのは。
僕は本気でここを離れたいと思った。
居心地も悪いし、拾ってくれたヤクさんも居なくなるなら…。
そう思ったときに玲さんがあの言葉を言ってくれた。
「なぁ、梶原。
僕さ、ここの族を正統派にしたいんだ。
お前も協力してくれるか?」
玲さんはいつも優しかった。
そんな玲さんが言うなら、この人について行ってもいいかなと思った。
「もちろんです!」
強く頷くと、玲さんは笑顔になった。
「ありがとな!
ヤクさんに拾われたもの同士頑張ろうな!」
玲さんについてまだよく知らなかった僕だったけど、“ヤクさんに拾われた”と聞いて、親近感を抱いた。
「っ!はいっ!」