L'eau, je suis important...



「これが僕の過去です。居場所がなかった僕に居場所を作ってくれたのがあなただったんです。
こんなことになってしまって恩を仇で返したも同然ですが、玲さんは僕の恩人です。
本当にありがとうございました。そして、本当にすいません。」


深く頭を下げた碧海。


碧海は碧海なりに考えて、孤独を感じてんだな。


居場所がない。


一番辛いことなんだと思う。


まだ精神的にも不安定なときに、陽向が来て、僕が陽向と仲良くなって。


また一人になったと思ったんだろうな…。



「顔上げろよ。
僕も気使ってやれなくてすまなかった。ごめんな。碧海。」


「いえ。僕が悪いので…。」


瞳に涙が溜まってきた碧海の頭をグシャグシャと撫でた。


「僕のこと、ずっと大事に思ってくれてありがとね!」


笑顔で碧海を見ると、碧海も笑顔になった。


「良かったな。玲。」

「おう!ありがとな!悠太。」


撫でている手とは逆の手で悠太と拳をぶつけた。


「もしも〜し!感動のとこ悪いんだけどよぉ!早く碧海を返してくれ!」


この雰囲気をぶち壊す声が聞こえた。


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