L'eau, je suis important...



くるりと向きを変えた梶原は阿部の方へ近づいていった。


「陽向。先に謝っておきます。すいませんでした。」


深く頭を下げた梶原は、いっとき経つとゆっくり頭をあげ、話し始めた。


「炎龍と玲さんたちと夏休みに行った海。あの日、愛華さんと舞羽さんがいなくなることがありましたよね?」


「あぁ。碧海が見つけてくれたときだよな?」


探しているときに変な輩に絡まれたあの時か…。


「そうです。
あの時、僕が……。」


梶原は言いづらそうに口を閉じた。

続けて目を閉じた。


フーっと息を吐くと、目を開けた。


その表情は何かを決心した顔だった。


「あの時、愛華さんたちを攫ったのは、僕の命令を聞いた男たちだったんです。僕が…。僕が陽向を困らせてやろうと思って…。男たちに命令を……。でもっ!でも、襲うつもりはなくて、僕が草原にケータイを置きに行ってる時に男たちが勝手に……。」


コイツが…!

コイツが舞羽を…!!



梶原に怒りを覚えていると、阿部が静かに動き出した。


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