L'eau, je suis important...


ガンッ!!!


そう思ったときには、大きな音ともに梶原は倒れていた。


梶原の目の前にいた阿部が殴ったのだと、その光景を見て理解した。


「立て、碧海。今のは俺の分だ。
もう一発は愛華の分。立て。」


それを聞いて、梶原は立ち上がった。


阿部は殴ることによって、この話を終わりにしようとしてるんだな。


俺よりよっぽど心が広くて、冷静じゃねぇか…。



ガンッ


鈍い音を立てて、梶原が倒れた。


「俺はこれで許す。あとは髙野次第だ。」


そう言って、阿部は梶原に手を差し出した。


梶原はそれをぐっと握り、立ち上がった。



それを見届けた俺は、梶原に一歩ずつ近づいた。


「俺は阿部ほど心が広くない。
でもな。お前を許さないとかは思わねぇ。一発でこの話はなかったことにする。」


フーっと息を吐いて、右からパンチを決めた。


「…ウッ」


苦しそうな声を上げて、梶原は倒れた。


「……え…。」


倒れた梶原は、差し出した俺の手を見て、声を上げた。


< 304 / 359 >

この作品をシェア

pagetop