L'eau, je suis important...


「あの!望は!涼太と悠太は!無事なんですか!?」


先程の落ち着きがなくなった龍さんが問うた。


「保護者の方ですか?」


医者は中年のおじさんだった。

なんか優しそうな雰囲気だな…。


「はい。本郷望は親が居ないので、俺が面倒を見ます。」


望くんは親が居ないのか…。

宏樹くんと康介くんの家族構成はどうなんだろう?


蝶月の皆は、僕のことを“家族”と言ってくれたけど、僕はその蝶月の人について何も知らないんだ…。


自分の手で炎龍を終わらせたいというその一心で蝶月のメンバーの名前を覚えて。


調べたらそんなことすぐわかったのに、僕は知らなかったんじゃなくて“知ろうとしなかった”……。



「ではお話いたします。
本郷さんは、右足を拳銃で撃たれていました。幸いにも貫通していたので手術も早く終わりました。今後は入院して、回復具合を見ながらリハビリをしていきます。」


「そうなんですか…!」


良かった…。


リハビリすれば治るなら良かった…。


心なしか皆表情が少し明るくなった。


「髙野悠太と大﨑涼太は…!?」


「髙野さんは、手術が長引いています。左腕を拳銃で打たれておりました。本郷さんと比べ、撃たれてから時間が経っていたので、出血が酷いです。また、銃弾が中に残っていたので、後遺症が残る可能性があります。」


「えっ…?」


後遺症…?

まだ悠太は18だぞ?


これから将来を決めていく大事なとき。

その年で後遺症なんて……。



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