L'eau, je suis important...
「んーん。なんでもなーい!!
望くんは、いつに退院できるの?」
「2ヶ月後って先生は言ってた。」
2ヶ月後か…。意外と長いな…。
「そう、なんだ。」
2ヶ月というその時間は学校に通うことは愚か、自由を奪われる。
緩かった頬もぴきっと変に固まり、うまく言葉を返すことができなかった。
「ま、その後もリハビリが続くから通院しなきゃだけどな。」
「そっか…。大変だね」
テンションが一気に下がった僕を気遣って、望くんがわざとらしくこう言った。
「俺は悠太と一緒の場所にいれるから嬉しいけどな!学校も違うし、いつも顔見れねぇもん。」
「そうだね!悠太と毎日一緒だよ!」
本心なんだろうけど、きっと自分の好きなことが思うようにできないことのほうが多く、辛い思いたくさんすると思う。
そんな中、僕を気遣ってくれる優しさが心に染みた。
だからこそ、僕はその雰囲気を壊さぬよう、明るい声を上げた。
「ねぇ、玲!悠太の顔は見れる!?」
「うん。中に入れるのは家族だけだけど、外の窓から顔は見れたよ。僕もさっき顔見てきた!」
「うわ!玲に先越された!
でもちゃんと顔も見れるんだな。」
「やったね!」
ニヤっと笑うとそれに応えるように、望くんも口角をあげた。
「毎日でも行こうかな!」
そう言って戯けてみせる望くんの身体も心配で、さすがに2日に1回にしよ!って苦笑しながら伝えた。
ずっと話していると、20分なんて案外あっという間で、軽く挨拶をして望くんの病室をあとにした。