L'eau, je suis important...


「……っ……ふっ……っつ……」

7ヶ月…。
幸せで楽しかった思い出がたくさん蘇ってきた。


悠太くんの前では涙を見せないと決めていた。

悠太くんには笑顔の私を見てほしかった。

でも…。
今日はどうしても我慢できなかった。

悠太くんは眠ってるけど、きっと意識は少しあるんだと思う。
だから、バレないように涙をこらえた。


「悠太くん…。ゆ…ったくん…」

泣いていることがバレないように涙をこらえながら、悠太くんの名前をひたすら呼んでいた。


「……む……ぅ…………な…く……な……」

声が聞こえた気がした。
声、というよりは音のほうが正確かもしれない。

でも確かにそう聞こえた。


バッと俯いていた顔を上げ、悠太くんを見ると、重たげな瞼を持ち上げ、こちらを優しく見つめていた。

「ゆ、うた……くん…?」

その声に応えるようにぎゅっと手を握り、体が痛むのか少し苦しそうに微笑んだ。

「悠太くんっ!!」

悠太くんに抱きついた。驚きで涙は止まっていた。


「む…ぅ……。遅く…なって……ゴメンな…。」

声を出すのが辛いのか、途切れた言葉で伝えてくる悠太くんを見てぶんぶんと首を振った。


止まっていた涙がまた溢れてきた。

そんな私の頬に優しく手を添え、親指で涙をぬぐってくれた。


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