L'eau, je suis important...
「なぁ悠太。
起きて早々こんなことを言うのは間違っているのかもしれんが…。」
先を濁すかのように、口にした言葉を聞き、それが良い話ではないことを察した。
「はい。なんでしょう。」
「涼太が記憶を取り戻したみたいなんだ。それに、悠太は将来どうするつもりだ?お前は彼女がいたよな?舞羽ちゃん…だったか?」
涼太が記憶を…??
なら過去のことも全て思い出したのか…!?
まさか、跡継ぎを涼太に。とか言い出さないよな!?
「はい。」
「お前はその彼女のことをこちらに連れてくる覚悟があるのか?こちらも生半可な気持ちで継がれても困る。お前の判断一つで何百人もの命が動く。それだけはよく考えてくれ。
記憶が戻った今、涼太が跡を継いでもいいんだからな。」
「ちょっと待ってくださいよ!それは話が違いますよね!?
俺が跡を継ぐから、だから、涼太にはそんな役させないでください!お願いします!」
座っていながらも脚につくほど深く頭を下げた。
「あぁ。それはわかっている。
だから彼女のことも将来のことも、お前がどうするのかちゃんと考えろ。
涼太のことを含めて、悠太が退院してからみんなで集まり、話をしよう。涼太の記憶に関しても1つ1つ確認したい。
あと、その彼女に過去のことすべて話したのか?」
「いえ。まだです。」
「じゃあちょうどいい機会じゃないか。その彼女も呼ぶといい。」
「わかりました。」
確かに舞羽にはまだ全てを話していない。
俺が今後、することに関して、舞羽を巻き込むわけにはいかない。
俺がしようとすることは舞羽の人生を捨てさせることになる。
ー書道の先生になりたいんだ!
笑顔で将来の話をしていた舞羽が頭をよぎった。
それならいっそ、舞羽とはここで…。