L'eau, je suis important...
集中していると、時間はあっという間に過ぎるもので、下書きが終わった頃には、外は暗くなっていた。
「山本、もう外暗くなっているから、家まで送る。」
下書きを始めた時は、生徒の声も響き、賑わっていたが、今では、誰一人として聞こえる声はない。
「え!いいよ!
髙野くん、なれない作業で疲れてるでしょ?」
ふわっとした独特な空気を持ち、首をコテンと傾けた。
まぁー疲れているが……
女子がこの時間に一人で出歩くのを見逃すわけにはいかねぇーよな。
「俺の心配はしなくていい。
それよりも自分の身の危険を心配をしたほうがいい。最近変質者?もいるらしいしな。」
「え!でも……」
と、最後まで渋っていたが、結局山本が折れる形で収まった。
「山本、俺が旗を片付けるから、山本は帰る準備していいぞ。まだ教科書とかバッグに入れてないだろ?」
山本は、仕事をしていたため、帰る準備ができていなかった。
もしそれを知らなかったら、気が利かない男だと思われていたか?
「じゃあ、お言葉に甘えて…」
そう言って山本は自分の机の方へ向かっていった。