L'eau, je suis important...




「髙野くん、落ち着いた…?」


控え気味に聞いてくる山本。



「あぁ。
山本すまない。迷惑をかけてしまって…!」


頭を下げ、平謝りする俺に、アタフタする山本。


「いや!全然大丈夫だよ?
でも……た…かのくん、まだ震え…てる………よね?」


たしかに俺はまだ少し震えが止まらない。
だがそれを山本に気づかれるとは思わなかった…。


「あああああ、あと!
良かったら、聞いてもいいかな………さっきの……」



意を決したように言う山本。


「あー………
もうかなり昔の話だ。」




✽✽



―17年前



俺は、少し肌寒く、紅葉の時期となった10月に生まれた。



外国の血を持つ父と純日本人の母の間に生まれた。



父は、赤みを帯びた黒と漆黒の瞳を持っていた。


父は、“外国の血”と言っても強くなかった。




それなのに、生まれた俺は、透き通る血のような赤と宝石のようなスカイブルーの瞳。



父よりも外国の血を強く受け継いだ。




それでも、父も母も俺が生まれたのを心から喜び、可愛がってくれた。





< 71 / 359 >

この作品をシェア

pagetop