L'eau, je suis important...
「髙野くん、落ち着いた…?」
控え気味に聞いてくる山本。
「あぁ。
山本すまない。迷惑をかけてしまって…!」
頭を下げ、平謝りする俺に、アタフタする山本。
「いや!全然大丈夫だよ?
でも……た…かのくん、まだ震え…てる………よね?」
たしかに俺はまだ少し震えが止まらない。
だがそれを山本に気づかれるとは思わなかった…。
「あああああ、あと!
良かったら、聞いてもいいかな………さっきの……」
意を決したように言う山本。
「あー………
もうかなり昔の話だ。」
✽✽
―17年前
俺は、少し肌寒く、紅葉の時期となった10月に生まれた。
外国の血を持つ父と純日本人の母の間に生まれた。
父は、赤みを帯びた黒と漆黒の瞳を持っていた。
父は、“外国の血”と言っても強くなかった。
それなのに、生まれた俺は、透き通る血のような赤と宝石のようなスカイブルーの瞳。
父よりも外国の血を強く受け継いだ。
それでも、父も母も俺が生まれたのを心から喜び、可愛がってくれた。