L'eau, je suis important...





「え!?
た、かのくん?」



慌てながらも、おずおずと弱い力で抱きしめ返してくれた。



「………」

「………」

「………」

「………」



お互い無言だったが、その腕がたまらなく心地よかった。



その沈黙を破ったのは、またもや山本で


「ねぇ?髙野くん。
私ね、お父さんがいないの。」



山本の突然のカミングアウトにただ驚くしかなかった。



驚いて、肩を掴み、山本の顔を見るように距離をとった。



「は!?」


それでも山本は言葉を続けた。


「私の話、聞いてくれる?」



山本の表情で、深刻なことで軽い話じゃないことはわかってる。


さっきのカミングアウトの続きだろうし。


でも、だからこそ山本の話を聞きたいと思った。


さっき俺の話聞いてもらったしな!


次は俺の番だ。



「おう!もちろん!」



< 75 / 359 >

この作品をシェア

pagetop