借金取りと私の関係【完】
お財布を出そうとする私の手を、制止させた真琴さん。



しぶしぶバッグの中へしまった。



「ありがとうございます…」



「いえいえ。じゃあ行こっか」



車に乗り込むと、真琴さんは行き先が決まっているかのような、迷いのない目線を道路に向ける。



一体、どこへ行くというのだろうか。



「あの真琴さん、どこに…?」



「まあいいから」



私の肩をポンポンと叩くと、車を発進させた真琴さん。



車の中は、シトラスのいい香りがする。
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