借金取りと私の関係【完】
と、黒崎さんが急に頭を下げた。



何が何だか分からなくてアタフタしていると、黒崎さんがその顔を上げて言う。



「守ってやれなくて」



今までこんなに苦しそうな顔を見たことあっただろうか。



今までこんなことを言われたことがあっただろうか。



胸がキュッとして切なくなる。



「く、黒崎さんは悪くないじゃないですか…っ」



私を見たとき嫌味を言ったくせに、どうして今になってそんなに苦しい顔をするの?



私の注意力が足りないって笑えばいいのに。



黒崎さんの口元にはガーゼが当てられていた。
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