借金取りと私の関係【完】
「意味わかんね」



「ち、ちが…」



黒崎さんは元いたソファに戻ると、ポケットからタバコを取り出し火をつけた。



さっきまであった、すぐ側の温もりが消える。



どうしたらいいか、分からない。



「あの…、私ちょっと出てきます…」



黒崎さんからの返事はなかったが、私はそのまま外へ出た。



暖かくなった空気は、気分に似合わず爽やかに吹いている。



ただ無心に歩き続けて、辿り着いたのは雪ちゃんや真琴さんが働く工事現場。



もちろん指示をする真琴さんは、歩いてくる私を知らずに誘導しようとする。
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