借金取りと私の関係【完】
何を考えているのか、何がしたいのか。



ただの借金取りなら、ここまでしなくていい。



これは黒崎さんの、不器用な優しさなのだろうか。



そう思うと、少しだけ目頭が熱くなる。



(理不尽な借金取りのくせして)



さっきまでの恐怖に似た感情は、嘘のようにどこかへ飛んでいき、心は温かかった。



いつだか雪ちゃんに、「柚葉は単純だ」と笑われたことがある。



今なら自分でも分かる気がした。



確かに私は単純で、ちょっとしたことで他人を許せる。



今更になって、雪ちゃんの言っていたそれを痛感するのだった。
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