Merry Christmas or Me ?
私は、ゆっくり、窓ガラスに触れた。
私が知る限り、今年の冬、初めて降った雪だ。私は、次々と視界に映り込む白い丸を目で追いながら、去年の今日を思い出した。
───去年の今日も、私はこの部屋にいた。
現在31歳である私は、24歳の頃から6年間付き合っていた彼氏とこの部屋でクリスマスを過ごしていた。
正直、去年の今頃の私は、今年こそ彼から将来について話してもらえるのではないかと感じ、そわそわしていた。それは、単なる予感というものではなく、私は今日ここでプロポーズをされるんだ!というわけのわからない確信すらあった。
それ程、私と彼は長い月日を共に過ごしてきたし、十分にお互いの愛も確かめ合ってきた。私自身、その頃は30歳になりたてで、アラサーと呼ばれる自分の年齢と、その年齢で未婚であるという現実に焦りを感じていたこともあり、彼に期待してしまったのだ。
クリスマスという日を恋人として共に過ごし、プレゼントにペアリングをもらった。いつものように他愛もない話をしながら笑って、本当に、幸せだった。
本当に、本当に、いつもと変わらない、幸せな一日だった。
……だけど、私は、期待しすぎた。
クリスマスという一大イベント。ここで、6年を共にした彼からプロポーズをされる。そんなことを勝手に予測して決めつけていた私は、それがなかったことに大きなショックを受けた。