Merry Christmas or Me ?

 それから、彼からの連絡は一切ない。もう、彼の方は私の事なんて忘れて幸せになっているに違いない。だって、本当に素敵な人だった。だから、他の女の子が放っておくはずがない。

 たかが半年、されど半年。半年なんて、私にはあっという間だった。忘れるには、まだまだ時間は足りなさすぎる。


────ピロロン

 既にうっすらと白に覆われつつある街並み。目に、ぼんやりと映っていたその街並みが、スマートフォンの着信音が鳴ると同時にはっきりとした。

 私は、一度窓から離れると、ベッドの上に置かれているスマートフォンを手に取った。すると、そのスマートフォンの画面には信じられない人物からのメッセージが通知として映し出されていた。


《マサキ:今、どこにいる?》


 スマートフォンの画面に映し出されていたのは、私が一方的に別れを告げたあの日以来たったの一度だって連絡を取り合っていなかった元彼、片平柾(かたひらまさき)からだった。

 突然すぎる出来事に、あたふたし始めた私は、スマートフォンを片手にどう返すべきなのかを考えた。

 驚いて、嬉しくて、だから、どう返すべきかを考えるこの瞬間ですら夢のようで。私は、ぐるぐると思考回路を回転させた後《一年前の今日と同じ場所》というメッセージを送信した。

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