Merry Christmas or Me ?

「え?」

 彼の言いたい事が分からず、ただ彼を見た。すると。


「Marry Me(メリーミー) 僕と、結婚してください。そう言いに来た」

 彼は、そう言って照れ臭そうに笑う。


「……うそ」

「嘘じゃない」

「だって、私……」

「ごめんね。ずっと、沙織がこの言葉を待ってたのは知ってた。だけど、俺こんなだから、ちゃんと出世して、ちゃんと沙織のこと守れるようになってからにしないとってずっと決めてた」

 彼の言葉に、私はどうしたらいいのか分からなくなった。私は、自分のことしか考えていなかったと改めて思い知った。

「だからさ、出世が決まってこうしてここまで来たんだけど……」

 まだ、間に合いますか? と言った彼は、優しく真っ直ぐな眼差しで私を見つめる。

 私は、そんな彼を見つめ返しながら、大きく何度も頷いて、ぼろぼろと流れ落ちる涙を手の甲で拭った。


「ずっと……ずっと、待ってた」


 泣きながら笑って、そう言う私の手をとった彼は、私の左手薬指に指輪を差し込むと「あ、ちょっと指痩せた?」なんて言って笑いながら私を抱き寄せた。





「待っててくれて、ありがとう。ずっと、ずっと、誰よりも大切にするよ」







* end *


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