ステイトリー・ホテルで会いましょう
柊と知り合ったのは大学生のとき。いつも人の輪から一歩引いている彼のことを、最初は異性としてまったく意識していなかった。
でも、大勢の人と騒ぐのが苦手な私は、柊と一緒にいると気が楽なことに気づいた。そして、気が楽になりすぎて、友達にもしないようなマニアックな話をするようになった。ミステリが大好きな私は、邦訳されていない外国の作家の話や、不可解なトリックの解き方なんかを嬉々として語った。
興味がなければ退屈しそうな話なのに、柊はいつも頷きながら聞いてくれた。それが嬉しくて、私も柊の話を聞いてみようと思うようになった。そうしたら、普段無口な彼が、好きな生き物のことを生き生きと語り始めたのだ。
生き物、といっても、家で飼っているような金魚やインコ、動物園にいるようなキリンやゾウの話ではない。柊は熱帯雨林の動物に魅せられていて、将来は熱帯雨林の生態系を研究したいと話してくれた。
好きなことを仕事にしたい、という彼に触発され、私はいつのまにかミステリ小説の翻訳家を目指すようになった。
でも、大勢の人と騒ぐのが苦手な私は、柊と一緒にいると気が楽なことに気づいた。そして、気が楽になりすぎて、友達にもしないようなマニアックな話をするようになった。ミステリが大好きな私は、邦訳されていない外国の作家の話や、不可解なトリックの解き方なんかを嬉々として語った。
興味がなければ退屈しそうな話なのに、柊はいつも頷きながら聞いてくれた。それが嬉しくて、私も柊の話を聞いてみようと思うようになった。そうしたら、普段無口な彼が、好きな生き物のことを生き生きと語り始めたのだ。
生き物、といっても、家で飼っているような金魚やインコ、動物園にいるようなキリンやゾウの話ではない。柊は熱帯雨林の動物に魅せられていて、将来は熱帯雨林の生態系を研究したいと話してくれた。
好きなことを仕事にしたい、という彼に触発され、私はいつのまにかミステリ小説の翻訳家を目指すようになった。