年下彼氏からのサプライズ
「日本経済の話は後でじっくり聞かせてもらうとして、いったん話戻してもいい?
この部屋、わざわざ予約したの?」


一度夢中になると周りが見えなくなる彼。

このままだと、クリスマスの夜に、このロマンチックな部屋で、一晩中日本経済について聞かなきゃいけなくなる。

それも嫌だし、今は、あの彼が、初デートで石垣について延々と語ったり、クリスマスは企業戦略とか言っちゃうあの彼が、何を思ってこんなサプライズを企画したのかが知りたい。


「まあ、......そうなりますね」

「なんで敬語?」


石垣や日本経済について、イキイキと語っていた時とは打って変わって、彼は急に自信なさそうに目を泳がせる。


「初めての彼女だし、すごく好きだし、ずっと一緒にいたいし、早く一緒に暮らしたいし、結婚したいし、俺本当にがんばりたいと思って、いや、がんばります!一年記念も仕事で会えなかったし、何か喜ばせてあげたくて、喜ぶことなら何でもしたいし、いつも俺気がきかないって周りに言われるから、彼女がいる同僚にこのホテルのこと聞いて、ああでも、」


いつも通り早口だけど、やっぱり自信なさそう。

いつもは理論立てて話すのに、支離滅裂だし、いまいち何が言いたいのかよく分からない。

でも、なんだか.......、なぜかそんな彼がすごく愛しい。
< 6 / 10 >

この作品をシェア

pagetop