この冬が終わる頃
サプライズ好きな私の王子様は、やっぱり最高に素敵な男の子だ。でも、もう男の子なんて言ったら怒られるかな。こんなにしっかりしていて、頼り甲斐があって、大きな愛で包んでくれるんだから。

「今度、指輪買いに行こう。今日、渡すべきか悩んだんだけど、唯が着けるものだから一緒に選びたいなと思って。」
「でも.....。」
「大丈夫。唯の為に使うお金は別だから。それからさ、春になったら一緒に暮らそう。少しでも長い時間、唯といたいから。」
「うん。」

自分を卑下して年を意識し過ぎてたのかもしれない。私が思うよりもずっと蒼は大人だったのに。言葉に出さなくても、蒼はいつも私を思いやってくれてる。こんなに優しい人に巡り会えるなんて本当に幸せだ。

この冬が終わる頃、私は30歳になる。だけど、もう怖くない。値下げを始めるどころか、今よりイイ女になってみせる。誰より素敵で可愛い旦那様の為に。

「愛してるよ、唯。」
「私も。」
「私も?」
「.......愛してる。」

今夜のキスも蒼の笑顔も、きっと一生忘れない。この夜が二人で叶える大きな夢の始まりだから。
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