この冬が終わる頃
微妙に自信を持てない上、五つもお姉さんだという自覚のせいか、未だに可愛く甘えるのは苦手だ。「愛してる」って挨拶みたいに連発する蒼が羨ましい。私だってそう思ってるけど、本気で愛してるからこそ軽く言えない。

かと言って、蒼の言葉を疑う訳ではない。嘘をついてる目には見えないし、その素直さが蒼の最大の魅力だと思うから。お陰で「愛されている」っていう根拠の無い自信だけは、何となくあったりもする。

愛してるし、愛されてるなら、何の心配もいらないはずだ。なのに、どこかスッキリしないのは何故だろう。

無意識のうち、年を気にしてるから? 年を重ね、自分が益々、蒼と釣り合わなくなるのが怖いから? 何の約束も無いのに、永遠に一緒にいられる保証なんてどこにも無いから?

冷静に考えたら、どれにも当てはまる。そう思うと三十路を迎えるのが恐くなる。悩んでもすぐに答えは出ないけど、このまま黙って値下げを待つ身にはなりたくない。
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