この冬が終わる頃
そう、それでいい。蒼は何の心配もせず、会社を軌道に乗せることだけを考えてれば。十分愛情を注いで貰ってるんだから、文句を言う筋合いはない。

ここまで愛されてるのに不安だなんて、贅沢なのかもしれない。でも、こうなると余計に年の差が気になれば、二人の間にまだ何の約束もないこともプレッシャーになって来る。

蒼とずっと一緒にいたいから、できることなら結婚したい。だけど、それは私が決めることじゃないし、今の蒼に求めるのは無理だ。

忙しいのに面倒をかけたくないし、変に匂わせて嫌われたくない。増してや、五つも年上のオバさんがガッつくのもみっともない。第一、若くてカッコいい蒼が私と結婚したいとまで思ってくれてるのか、本当のところはわからない。

燻るモヤモヤの原因はやっぱりこれだ。三十路を前にして何の約束も無い焦りに違いない。愛されてるのはわかるけど、待つ間にも年は取る。女子が可愛くいられる時期はそう長くない。

春になって値下げが始まっても、蒼は私を愛してくれるかな。いつかはちゃんとプロポーズしてくれるのかな。
< 6 / 11 >

この作品をシェア

pagetop