副社長とふたり暮らし=愛育される日々
モデルのりらへと意識を変えて「はい」と返事をすると、ガチャリと扉が開かれ、三十代の男性が姿を現す。黒い短髪が爽やかな彼は、ユーフォリックモードのマーケティング部でPR担当をしている柴田(しばた)さんだ。
「ごめんね、ちょっと言い忘れてたことがあって」
片手を縦にして申し訳なさそうに笑いながらやってくる彼に、私は軽く微笑む。
「大丈夫です。なんですか?」
「次回の撮影、モデルの宝生海都とふたりでやることが決まったんだよ!」
いつになく高めのテンションでそう言ってきた柴田さんだけど、私はぽかんとしてしまう。
「うそぉ! すごいじゃんりら~」
後ろにいる七恵も目を丸くしながら、興奮気味で私の肩をバシバシと叩くけど……。
「宝生海都って誰?」
「えぇーっ!?」
私の冷めたひと言で、ふたりは驚愕の声を上げた。
そ、そんなに驚くほどすごい人なの? 最近あんまりテレビ見てないからわからないな……。
信じられない!と言いたげな顔をする七恵と柴田さんは、ふたりして私に詰め寄ってくる。
「あんた知らないの!? 二十三歳の帰国子女、今注目の大人気メンズモデルよ!」
「普段は可愛い子犬系男子だけど狼に豹変する瞬間を見たいランキング一位の男だよ!?」
「知りませんよ、そんなコアなランキング」
「ごめんね、ちょっと言い忘れてたことがあって」
片手を縦にして申し訳なさそうに笑いながらやってくる彼に、私は軽く微笑む。
「大丈夫です。なんですか?」
「次回の撮影、モデルの宝生海都とふたりでやることが決まったんだよ!」
いつになく高めのテンションでそう言ってきた柴田さんだけど、私はぽかんとしてしまう。
「うそぉ! すごいじゃんりら~」
後ろにいる七恵も目を丸くしながら、興奮気味で私の肩をバシバシと叩くけど……。
「宝生海都って誰?」
「えぇーっ!?」
私の冷めたひと言で、ふたりは驚愕の声を上げた。
そ、そんなに驚くほどすごい人なの? 最近あんまりテレビ見てないからわからないな……。
信じられない!と言いたげな顔をする七恵と柴田さんは、ふたりして私に詰め寄ってくる。
「あんた知らないの!? 二十三歳の帰国子女、今注目の大人気メンズモデルよ!」
「普段は可愛い子犬系男子だけど狼に豹変する瞬間を見たいランキング一位の男だよ!?」
「知りませんよ、そんなコアなランキング」