副社長とふたり暮らし=愛育される日々
そして、今になってはっとする。一緒に仕事している相手を見ていなかったというのは、とても失礼なことじゃないか、と。
自分の愚かさに気づき、私はすぐにガバッと頭を下げた。
「ごめんなさい! 私、すごく失礼なこと……」
「あ、いや、責めてるわけじゃないから! ただ、りらさんが想ってるのは誰なのかなって、気になっただけ」
本当に気にしていないように笑う海都くんは、その表情に少し真面目さをプラスして、落ち着いた声で問う。
「その人のこと、好き?」
ドキン!と、さっきよりも一層大きく心臓が鳴る。
私は、副社長のことを、好きなのだろうか──。
誕生日を祝ってもらった時から、彼は大きな存在感を持って常に私の中にいる。彼と一緒に暮らすことも、昨日のキスも、決して嫌なんかではなかった。
それって、好きだと言っていいのかな?
「…………わからない」
自分に問いかけてみて出た答えは、そんな曖昧なものだった。
なぜなら、最後に恋をしたのは十年も前のこと。しかもその時だって、本当に好きだったのかわからないのだから。
蘇ってくる中学時代の苦い記憶を、なんとなく話してみる気になった私は、苦笑混じりに吐露する。
自分の愚かさに気づき、私はすぐにガバッと頭を下げた。
「ごめんなさい! 私、すごく失礼なこと……」
「あ、いや、責めてるわけじゃないから! ただ、りらさんが想ってるのは誰なのかなって、気になっただけ」
本当に気にしていないように笑う海都くんは、その表情に少し真面目さをプラスして、落ち着いた声で問う。
「その人のこと、好き?」
ドキン!と、さっきよりも一層大きく心臓が鳴る。
私は、副社長のことを、好きなのだろうか──。
誕生日を祝ってもらった時から、彼は大きな存在感を持って常に私の中にいる。彼と一緒に暮らすことも、昨日のキスも、決して嫌なんかではなかった。
それって、好きだと言っていいのかな?
「…………わからない」
自分に問いかけてみて出た答えは、そんな曖昧なものだった。
なぜなら、最後に恋をしたのは十年も前のこと。しかもその時だって、本当に好きだったのかわからないのだから。
蘇ってくる中学時代の苦い記憶を、なんとなく話してみる気になった私は、苦笑混じりに吐露する。