副社長とふたり暮らし=愛育される日々
私は、ずっとこのままでいいと思っていた。

女としての魅力に欠けたまま、恋愛から遠ざかっていても、たまにモデルの仕事をして、違う自分を味わうことができればそれでいいと。

でも、心のどこかで虚しさも感じていた。

このまま誰も愛さず、愛されずに、いつかりらの存在も薄れて、ただ年を取っていくだけの人生になってしまったら、それこそ寂しい。

そんな、心許ない状態の私の手を取ってくれたのは、ほかでもない副社長だった。


『今の素朴なお前もいいけどな』

『“マシ”じゃなくて、元々持ってるお前の良さを引き立たせただけだ』


そう言って、最初から素の私も認めてくれていたのも副社長。彼は私に、“自信”というもうひとつのプレゼントをくれたのかもしれない。

今のままでは、それを無駄にしているだけ。海都くんの言う通り、もっと春原瑞香としても胸を張るべきなのだ。

そうすれば、きっと私の世界は変わる。

副社長への気持ちが恋なのかどうかも、はっきり自覚できるかもしれない。

靄が晴れたような気分で海都くんを見つめる私に、彼はにこりと笑いかける。


「ね? だから、俺と同じ世界に来て。一緒に頑張ろうよ」


心強い言葉が嬉しくて、私も口元を綻ばせながら「ありがとう」と返した。


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