副社長とふたり暮らし=愛育される日々
聞いたところ、彼も駅から電車に乗るらしいから、私のことは気にしないでと説得し、駅に向かった。
海都くんが乗る電車はすぐにやって来る。彼が改札に入るのを見届けてから帰ろうと思い、その手前でお別れの挨拶をする。
「じゃあ、本当に気をつけて」
向き合って言う彼に、にこりと微笑む私。
ここに来るまでの間に、『あの人カッコ良くない!?』という女子の声はちらほら聞こえたものの、海都くんだと気づく様子はなかったから、もう警戒心はほとんどない。
「ありがとね。今日は本当に楽しかった」
「俺も。また誘っていい?」
そんなことを言われて少し戸惑うけれど、断る理由もないので「うん」と頷いた。
すると、海都くんの顔がいたずらっぽく変化する。
「今度は送り狼になっちゃうかもしれないけどね」
……おいおい、普段は可愛い子犬系男子だけど狼に豹変する瞬間を見たいランキング一位の男が、こんなこと言っちゃってるよ。
私は彼の肩をパシンと軽く叩いて、「何言ってんのー」と笑い飛ばした。
しかし、次の瞬間、予想だにしていなかった事態が起こった。
手を取られたと思ったら、私はあっという間に海都くんの腕の中に収まる。なんと、公衆の面前で抱きしめられてしまったのだ。
なっ……なんてことをしてくれてんの、この子はー!!
海都くんが乗る電車はすぐにやって来る。彼が改札に入るのを見届けてから帰ろうと思い、その手前でお別れの挨拶をする。
「じゃあ、本当に気をつけて」
向き合って言う彼に、にこりと微笑む私。
ここに来るまでの間に、『あの人カッコ良くない!?』という女子の声はちらほら聞こえたものの、海都くんだと気づく様子はなかったから、もう警戒心はほとんどない。
「ありがとね。今日は本当に楽しかった」
「俺も。また誘っていい?」
そんなことを言われて少し戸惑うけれど、断る理由もないので「うん」と頷いた。
すると、海都くんの顔がいたずらっぽく変化する。
「今度は送り狼になっちゃうかもしれないけどね」
……おいおい、普段は可愛い子犬系男子だけど狼に豹変する瞬間を見たいランキング一位の男が、こんなこと言っちゃってるよ。
私は彼の肩をパシンと軽く叩いて、「何言ってんのー」と笑い飛ばした。
しかし、次の瞬間、予想だにしていなかった事態が起こった。
手を取られたと思ったら、私はあっという間に海都くんの腕の中に収まる。なんと、公衆の面前で抱きしめられてしまったのだ。
なっ……なんてことをしてくれてんの、この子はー!!