副社長とふたり暮らし=愛育される日々
嫉妬疑惑+間接告白=甘すぎる愛
海都くんにハグとキスをされ、ぐるぐると考えを巡らせて立ち尽くしていた、その時。
突然「瑞香」という声とともに、ぐっと腕を掴まれ、驚いて振り向いた私はさらに驚愕した。
「へ……副、社長……!?」
そこには、なぜか険しい顔をした御影副社長がいたから。
なんで? どうして彼がここに!?
目を見開いて固まる私に、急いで来た様子の副社長はため息混じりに言う。
「さっきの電話で、心配になったから来てみれば……」
私、何か心配させるようなことを言ったっけ?と、先ほどの会話を巻き戻そうとする間に、彼は相変わらず怒ったような顔で、冷たさを感じる声を放つ。
「キスされるほど、あいつと仲良くなったのか?」
うわ、さっきの見られてたの!?
ドキッとするけれど、あれは不可抗力だったし、見られたものは仕方ない。そう開き直り、肩をすくめつつ正直に答える。
「あ、あれは、アメリカ流の挨拶らしいです」
「何考えてんだ、ここは日本だぞ。しかもあいつは一応有名人だろうが」
「えぇもう、おっしゃる通りで……」
綺麗な顔をさらに歪める副社長に、私はおどおどしっぱなしだ。いつも穏和な彼の、こんな表情を見るのは初めてだもの。
すると、ふいに彼の手が伸びてきて、私の黒縁眼鏡をほんの少し持ち上げる。