副社長とふたり暮らし＝愛育される日々

「お前、本当に俺のことが好きかどうかわからないのか？」


探るような目で見つめながら問いかけられ、私はまたどぎまぎしつつ、正直な想いを口にする。


「いえ、あの……副社長のこと、好きです」


そう言ってから、普通の告白になってしまったことにはっとし、「あっ！」と叫び声を上げてしまう。

　
「いやあの、好きなんですけど、それがライクでなくラブなのかどうかわからなくて！　ちゃんと自覚してからじゃないと副社長にも失礼だから、その……！」


なぜか両手の平を向け、慌てて訂正する挙動不審な私を、キョトンとして見ていた副社長は、ぷっと吹き出した。


「変なとこで頭カタイっつーか、本当に恋愛経験ないんだな。そんなの、ここで感じるものだぞ」


おかしそうに笑いながら、彼は自分の胸を人差し指でトントンと叩く。

……そうだよね。これは頭で考えるものじゃなく、きっと“好きだと感じる瞬間”が訪れて、そこで初めてわかるものなんだろう。

その瞬間をいつか感じてみたい……と願っていると、副社長は、「まぁ、嫌われてないだけよかった」と言って笑う。

そして、熱を湛えた綺麗な瞳で私をまっすぐ見つめると、頬にそっと手をあてがい、またおまじないをかけるようにしっかりと言葉を紡ぐ。


「これから教えてやるよ。どれだけ俺のことを好きか、たっぷりわからせてやる」