副社長とふたり暮らし=愛育される日々
○Love nest3○

溺愛攻撃=スキャンダルもいとわない



お兄ちゃんが帰ってきて、副社長が私にまさかの告白をした日から数日、この同居生活は糖度が上がりまくっている。

『もう抑える必要ないからな』と言い、前以上にスキンシップをしてくるようになった彼のおかげで。

お風呂から上がった今も、例外なく。

洗面所で、荒れた手にハンドクリームを塗ろうとしていると、たまたま居合わせた副社長が「待て」と言い、私を制した。

なんだろうとキョトンとしていると、彼は一旦リビングのほうに向かい、何かを持って戻ってきた。


「ちょうどうちの新商品のサンプルがあった。手、出して」

「え、あ……」


戸惑いながら少し出した手を取られ、副社長の手によってハンドクリームを塗られていく。

ま、まさかこんなことまでしてくれるとは。

温かくて大きな手が、私のそれを包み込み、優しく滑る。それは、ちょっぴりドキドキするけど気持ち良い。

手が離されると、もっとしてほしい……なんて、正直思ってしまった。そんなこと言えないけど。

しっとりした手からは、優しく甘い香りがふわっと漂ってくる。


「どう?」

「すごくいい匂い……! これ、桜ですか?」

「正解」


頷いた副社長は、ちょっぴりいたずらっぽい笑みを浮かべ、こんなひと言を口にする。


「ボディクリームもあるぞ。塗ってやろうか?」

「っ、いい! いいです!」


ボディクリームはなんかヤラシイって!

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