副社長とふたり暮らし=愛育される日々
朔也さんの香りとぬくもりを感じながら寝ることにも慣れてきて、しっかり熟睡することができている今日この頃。
あっという間に二月に入り、バレンタインはどうしようかと考え始めたけれど、それ以上に考えなければいけないことがある。
なぜなら、さっそくりらプロデュース香水のプロジェクトが始まるからだ。
ふくろうでの勤務が休みである今日、私はユーフォリックモードの本社に向かっている。会議は午後からのため、朔也さんはすでに副社長室で仕事していることだろう。
私がここに来る時はだいたい撮影の打ち合わせで、相手は素の姿を知っている人たちだったため、いつもと同じ格好で出向いていた。
しかし、今日は開発チームの皆と顔を合わせる。どうしようかと悩んで七恵に相談すると、『私が全部本社でやってあげるよ』と言ってくれた。
それも申し訳ないから、一応メイクは自分でがんばってみて、ヘアメイクと着替えはミーティングの前にお願いすることにしたのだ。
午後十二時過ぎ、本社に着いた私は、一階のユーフォリックモードの商品が並ぶ専門店の様子を外から眺めながら、その隣に設置されたエスカレーターに向かう。
店内はジュエリーショップのような輝きを放っていて高級感がありつつ、気後れせずに入れるカジュアルさも合わせ持っている。
看板商品のMimiと同じく、“手が届く可愛らしさ”をモットーにしている。これが若い女性に人気なのだ。