副社長とふたり暮らし=愛育される日々
エスカレーターを上がると、本社の中に入ることができる。
商品がいくつか展示されている綺麗なロビーを進み、今度はエレベーターに乗って三階を目指す。ここには営業部のオフィスと、七恵が所属するビューティアドバイザーチームが使うメイク室があるのだ。
すれ違う社員が、誰?という感じで振り向くけれど、私は何食わぬ顔でその部屋に向かい、ドアをノックする。意外と堂々としているほうが怪しまれないもの。
「はーい」と返事がしてから中に入ると、七恵は休憩中にもかかわらず、私を待ってくれていた。
「ごめんね、七恵。休憩中なのに」
「これくらいたいしたことないって。ほら、これ着替えて」
長い髪を掻き上げてにこっと笑った彼女は、借りてきてくれた衣装を私に手渡す。さっそくそれに着替えたら、りらのウィッグをつけてもらう。
そして、自力でやったメイクは、やっぱり七恵的にはイマイチだったらしく、いつものようにまつげを盛られていった。
そうして完成したりらの姿を確認する七恵は、満足げに頷く。
「やる気になった瑞香は輝きが違うよ。これはますます副社長の溺愛っぷりが加速するかもね~」
私に顔を近づけて、ニンマリしながら冷やかしてくるから、羞恥心に襲われて俯いた。
商品がいくつか展示されている綺麗なロビーを進み、今度はエレベーターに乗って三階を目指す。ここには営業部のオフィスと、七恵が所属するビューティアドバイザーチームが使うメイク室があるのだ。
すれ違う社員が、誰?という感じで振り向くけれど、私は何食わぬ顔でその部屋に向かい、ドアをノックする。意外と堂々としているほうが怪しまれないもの。
「はーい」と返事がしてから中に入ると、七恵は休憩中にもかかわらず、私を待ってくれていた。
「ごめんね、七恵。休憩中なのに」
「これくらいたいしたことないって。ほら、これ着替えて」
長い髪を掻き上げてにこっと笑った彼女は、借りてきてくれた衣装を私に手渡す。さっそくそれに着替えたら、りらのウィッグをつけてもらう。
そして、自力でやったメイクは、やっぱり七恵的にはイマイチだったらしく、いつものようにまつげを盛られていった。
そうして完成したりらの姿を確認する七恵は、満足げに頷く。
「やる気になった瑞香は輝きが違うよ。これはますます副社長の溺愛っぷりが加速するかもね~」
私に顔を近づけて、ニンマリしながら冷やかしてくるから、羞恥心に襲われて俯いた。