副社長とふたり暮らし＝愛育される日々

うわ、やっぱり緊張する……。私たちのツーショットを見てどう思われているんだろう……ってことは気にしない気にしない！

なんとか邪念を振り払おうとしていると、朔也さんが口を開く。


「皆、彼女に会うのは初めてだよな？　簡単に自己紹介してもらおうか」


目で合図された私は小さく頷き、皆の顔を見回す。すると、窓側の真ん中あたりに座る三嶋さんが目に入った。

さっきは『新入社員みたい』と鼻で笑われたから、もっと落ち着いた大人らしく振る舞わなきゃいけないかな、とも思ったけど……。

元気に挨拶しても、モデルのイメージと違っていても、何も恥じることはないよね。朔也さんのアドバイス通り、私は私のままで。

ある意味開き直ると、自然と笑顔を浮かべることができてくる。口角を上げて、息を吸い込んだ。


「はじめまして。Mimiのモデルをさせていただいています、りらです。こういう場に参加するのは初めてなので、すごく緊張してますが、精一杯やらせていただきますので、よろしくお願いします！」


勢い良くお辞儀をして顔を上げると、皆にこやかに「よろしくお願いします」と返してくれる。女性陣も、あの三嶋さんも。

それだけで少し安堵するけれど、よく考えれば当然だ。朔也さんがいるのだから、内心良く思っていなくても、あからさまに顔に出したりはしないはず。