副社長とふたり暮らし=愛育される日々
「あの……三嶋さんって、副社長と親しいんですか?」


ぴたり、彼女の動きが止まった。そしてくるりと振り返り、私を真顔で見つめてくる。


「あなた、聞いてないのね?」

「えっ……」


聞いてないって、何を?

意味深な質問返しをされ、私は目をしばたたかせる。三嶋さんはひとつ息を吐き、こう言った。


「長い付き合いよ。あなたよりずっと」


その言葉にはなんだか重みがあって、胸がざわめき始める。この間と同じ、嫌な感じ。

ふたりの間には、深い繋がりがあるんだ。それはやっぱり、プライベートでの……?


「副社長のこと……好き、ですか?」


ストレートに聞いてしまった。こんなことを聞いたらおかしいと思われるとわかっていながらも、口が勝手に動いて。

表情を強張らせる私に、三嶋さんはふっと笑みを見せ、はっきりと答える。


「えぇ、もちろん。好きよ」


──ドクン、と胸の奥で重い音がした。

三嶋さんは、朔也さんのことが好き。それが今、確定したのだ。

ドクドクと鼓動が速まる。呆然とする私に、女の強さみたいなものを感じさせる綺麗な笑みを残した彼女は、ドアを開けて廊下に出た。

はっとして私もあとに続くと、オフィスから出てきた男性社員が、「三嶋さん、いたいた」と言いながら手招きする。

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