副社長とふたり暮らし=愛育される日々
三嶋さんはもう一度私のほうを振り向き、クールな笑みを浮かべて会釈する。
「それじゃ、また」
「あ……お疲れ様でした……!」
勢い良く下げた頭を上げると、彼女は男性社員と話しながらオフィスの中へ入っていった。
ひとりになった私は、その場に立ち尽くす。この間よりも胸がざわめいて気持ち悪い。
……朔也さんは、三嶋さんの気持ちを知っているのかな。
今は私を好きだと言ってくれているけれど、もし彼女に気持ちが移ってしまったら?
髪を撫でてくれる手のぬくもりも、優しい笑顔も、私のそばから消えてしまったら?
「…………嫌だ」
乾いた唇から、ぽつりと本音がこぼれた。
大人なふたりの、お似合いなツーショットを想像すると、心が縄で縛られたみたいに苦しくて、痛くなる。
今、私の中を占めている想いは、ひとつだけ。
──朔也さんを、取られたくない。
こんなの初めてだ。こんなに、誰かを独占したくなるなんて。
『惚れた女じゃなきゃ、手放したくもならない』
朔也さんが言っていたことが、今身に染みてわかった。
この独占欲は、間違いなく恋の副作用。
私、朔也さんのことが、好きなんだ──。
「それじゃ、また」
「あ……お疲れ様でした……!」
勢い良く下げた頭を上げると、彼女は男性社員と話しながらオフィスの中へ入っていった。
ひとりになった私は、その場に立ち尽くす。この間よりも胸がざわめいて気持ち悪い。
……朔也さんは、三嶋さんの気持ちを知っているのかな。
今は私を好きだと言ってくれているけれど、もし彼女に気持ちが移ってしまったら?
髪を撫でてくれる手のぬくもりも、優しい笑顔も、私のそばから消えてしまったら?
「…………嫌だ」
乾いた唇から、ぽつりと本音がこぼれた。
大人なふたりの、お似合いなツーショットを想像すると、心が縄で縛られたみたいに苦しくて、痛くなる。
今、私の中を占めている想いは、ひとつだけ。
──朔也さんを、取られたくない。
こんなの初めてだ。こんなに、誰かを独占したくなるなんて。
『惚れた女じゃなきゃ、手放したくもならない』
朔也さんが言っていたことが、今身に染みてわかった。
この独占欲は、間違いなく恋の副作用。
私、朔也さんのことが、好きなんだ──。