副社長とふたり暮らし=愛育される日々
私のそばを通ろうとしていたスタッフさんに「すみません!」と謝り、海都くんに向き直る。
「海都くん、ありがとう」
「いいえ。お姫様が転んじゃったら大変だからね」
お、オヒメサマ、ですか。そんなことを恥ずかしげもなく言えるところと、それなのにチャラチャラしているように感じさせないところはすごいな……。
王子様のようなキラキラスマイルを浮かべる彼を、苦笑半分、照れ笑い半分で見つめていた、その時。
私に回されていた彼の手がぱっと離れ、いつも嗅いでいる大好きな香りが鼻をかすめた。
海都くんが自ら手を離したのではなく、離されたのだと気づいたのは、私たちの横に立つ人物が彼の手首を掴んでいたから。
今日もビシッと決まっているスーツ姿の長身の男性を見上げ、私は目を見開いた。
「さ……っ!」
思わず名前を叫んでしまいそうになり、慌てて口をつぐむ。今、朔也さんと会うとは思わなかった!
驚く私を、常にどこか色気を感じる切れ長の瞳が捉え、ふわりと微笑んだ。そしてその瞳は、次に海都くんへと向けられる。
「うちの姫を気遣ってくれてありがとう」
海都くんの手を離した彼は、余裕がある様子でそんなひと言を残し、私たちから少し離れたステージ寄りの位置でスタンバイし始めた。
「海都くん、ありがとう」
「いいえ。お姫様が転んじゃったら大変だからね」
お、オヒメサマ、ですか。そんなことを恥ずかしげもなく言えるところと、それなのにチャラチャラしているように感じさせないところはすごいな……。
王子様のようなキラキラスマイルを浮かべる彼を、苦笑半分、照れ笑い半分で見つめていた、その時。
私に回されていた彼の手がぱっと離れ、いつも嗅いでいる大好きな香りが鼻をかすめた。
海都くんが自ら手を離したのではなく、離されたのだと気づいたのは、私たちの横に立つ人物が彼の手首を掴んでいたから。
今日もビシッと決まっているスーツ姿の長身の男性を見上げ、私は目を見開いた。
「さ……っ!」
思わず名前を叫んでしまいそうになり、慌てて口をつぐむ。今、朔也さんと会うとは思わなかった!
驚く私を、常にどこか色気を感じる切れ長の瞳が捉え、ふわりと微笑んだ。そしてその瞳は、次に海都くんへと向けられる。
「うちの姫を気遣ってくれてありがとう」
海都くんの手を離した彼は、余裕がある様子でそんなひと言を残し、私たちから少し離れたステージ寄りの位置でスタンバイし始めた。