副社長とふたり暮らし＝愛育される日々
社長のあとは、朔也さんがステージに立つ。そして、企業理念や今回紹介する商品の説明を始めた。

大勢の人たちを前にしても、堂々とした立ち居振る舞いをする彼が、とても輝いて見える。

内から放たれるカッコ良さを感じ、胸を高鳴らせながら彼を見つめていると、私の後ろで機材を調整していた社員の男女ふたりの会話が耳に入ってくる。


「副社長が若者向けのコスメを作るって言った時は反発もあったらしいけど、結果大成功よね」

「ブランドイメージの路線変更するんだから、そりゃ反対もされるだろ。でも、副社長の決断力がなければ、ここまで会社は大きくならなかったかもな」


……そう、Mimiも含めたカジュアルコスメブランドが確立する前のユーフォリックモードは、高級化粧品のイメージを全面に押し出していた。

それを朔也さんがぐるっと方向転換して、見事成功させたというのは、社外でも有名だという。雑誌の取材などにも応じているし、そのルックスからも業界内では著名らしいから。

そういう力を持っていることも、社員から慕われる人柄や魅力も含め、改めて彼はすごいと思う。私とは住む世界が違う人だ。

本来なら手が届かない地位にいる彼と、今一緒に暮らしているなんて……。本当に不思議で、夢のようだと思いながら、朔也さんの話に耳を傾ける。

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